卒展レポート

東京造形大学

ZOKEI展 2019年度 東京造形大学卒業研究・卒業制作展

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記憶の花瓶

加藤 緑
造形学部 デザイン学科 テキスタイルデザイン

今までの作品を振り返り、モチーフに花を使うことが多かった私は母の影響で幼い頃から花に囲まれた生活を送っていました。無意識に花への愛着が湧き、自分が花に対するイメージや記憶を作品にしていました。

インドからバングラデシュに跨るベンガル地方の伝統織物ジャムダニ(Jamdani)織り。ジャムダニの語源は、ペルシャ語で「ジャム=花」、「ダニ=花瓶」という意味で、花瓶という織りに美しい花を飾り映します。それを用いて、幼い頃の記憶をタペストリーにし、美しく飾りたいと考えました。

ジャムダニ織りは、緯糸の間で色糸を切り替えながら絵柄を織りだしていく技法です。表も裏もまったく同じに見えるよう織り込まれ、一色だけでも小さい板ひをいくつも同時に扱い、一列ずつ丁寧に数え、織り込んでいきます。実は、最も単純な織物組織「平織り」をベースとした織物と単純な緯糸の入れ方で、複雑なデザインが生まれ、細かい程、綺麗な曲線ができどんな形でも織ることが可能です。

主に幾何学的、植物的、そして花柄のデザインが使われます。それに従い、花に対するイメージや記憶をデザインに起こし、ピクセル化した花を織り込みました。5枚を繋げた構図にすることで、画面を広く使い、絵の大きな流れと抜けを表現しました。

作品一覧