東京造形大学
ZOKEI展 2019年度 東京造形大学卒業研究・卒業制作展
跡形の明かり
- 藤 雄大
- 造形学部 デザイン学科 室内建築
近年、多くの地方都市で中心市街地の空洞化が深刻化している。その主たる要因として、これまで地方都市の成長を支えてきた製造業などの撤退と、大型商業施設の郊外展開がある。地方に次第と仕事が無くなっていき、都市部に仕事を求める様になってくる。
私が計画地として指定している神奈川県横須賀市もこの問題に直面している。地域に住まう人々の仕事場やスーパーなどのテナントが一体となった複合施設が必要だと感じた。そこで商業スペースを仕事場として提供し、周囲には住宅を配置するとこで市街地の空洞化を抑えることができるのではないだろうかと考えた。
計画地は元々、造船で都市の経済が潤っていた。その過去の栄光を現在に呼び戻したいという思いから「横須賀造船所」というキーワードからデザインに起こしていった。大きな形の決定として船の修理・製造をする際に用いるドライドックの形をモチーフとして階段上になっている谷型の形を使用した。駅からのアプローチを3階まで持っていくことでドライドック本来の上から下に見下ろす様なイメージを持たせた。
「横須賀造船所」が木骨レンガ造であったことからそのまま木骨レンガ造を取り入れ、現在にはない造りとした。また、過去の造船所の計画配置図を自身の計画地に配置し、建物の部分を立ち上げ、渡り廊下とするとこで過去に存在していた造船所の面影を残すと共に過去と現在とを結ぶ橋渡しとした。
道の動線には造船所がフランスと関わりがあったことからフランス庭園の幾何学的で、左右対象的な道の配置を取り入れ、計画した。