東京造形大学
2015年度 東京造形大学 ZOKEI展
白い季節
- 上原沙也加
- 写真
上京して四年。島に帰るたび、商品化された沖縄らしいイメージと生活との間に多くのずれを感じるようになった。沖縄は、その特異な環境や歴史的背景から、報道、観光を中心に多様な形をとって多くの視線にさらされてきた。悲惨な基地問題の現場、戦争の記憶、観光地としての自然豊かな楽園、信仰の儀式などの神秘的なイメージなど、特別な場所として表象されてきたように思う。これらのイメージは、どれも鮮烈で刺激的で、そして遠い。感動したり同情を抱く事ががあっても、自身とは関係の絶たれたところで成立し、消費されていく。このことは、沖縄人にとっても決して例外ではない。沖縄について語ろうとすると、作り上げられたイメージになぞらえてしまう。消費物として作り上げられたオキナワのイメージは、現在幾層にもなって存在している沖縄との関係を断ち切り、ほんの少しの想像力をも奪いかねない。誰かの生活の延長線上で沖縄を捉えることが出来たなら、できるだけ多くの、遠くにいる人にとって、それぞれの距離感を計りながらも、沖縄で起こっている様々な事象が地続きのものとして立ち現れてはこないだろうか。普遍的で然りげない所にも、文化や信仰や問題が存在する。写真に写るものもあれば、写らないこともあった。複雑に入り交じる物事は、記号的な了解を拒否するかのように、ただそこにある。それでも意味を求める事無くそのまま記録すること。