武蔵野美術大学
令和元年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作展
かんたんな建築の展示
- 中川拓海
- 建築学科
僕が学んできた建築は、多くの複雑な要素や背景から成り立っていることが多く、専門で学んでいない方には内容の理解や、作者の思いを汲み取るのが少し難しいことがあると思います。建築に限らず、僕らが何かを作ったとき作品や制作物が、制作者やその分野に精通した人々だけが楽しめるものになっていないか、その人たちだけの世界になってしまっているのではないか、そんな思いがあったので、誰が見ても楽しく、理解ができる、かんたんな展示を目指しました。
それを達成する方法として、僕はおそらく多くの人が関心を持っていて、世の中に一つのコンテンツとして成り立っている「出身都道府県」の話を「建築」と絡めて制作することを考え、「県民性を表現する一室」を47個設計しました。
47都道府県の様々なランキングから、各都道府県のトップ、ワーストを抽出し、それを各々の「県民性」として、その県民性を集合住宅の一室をイメージした空間に落とし込みました。各々を比較しやすいように、ベースを5000×6000の空間に統一し、スケルトンインフィルをイメージして設計しています。
『人々が関心を持つもの』と『建築』を掛け合わせて、まずは多くの人が建築に触れるきっかけになることを期待しています。
この作品は、建築を専門で学んでいない方にも建築の展示を楽しんでいただくことを目的としていると同時に、僕自身が持っている、専門性の高い世界への反発にも近い気持ちを表現しています。