卒展レポート

武蔵野美術大学

令和元年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作展

  • W. A. Dwiggins: Inheritance and Experiment
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W. A. Dwiggins: Inheritance and Experiment

安藤真生
視覚伝達デザイン学科

William Addison Dwiggins(1880-1956)は、20世紀前半にアメリカのボストンで活躍したデザイナーである。彼は様々な分野に才能を発揮し、広告デザイン、ブックデザイン、書体デザイン、イラストレーション、カリグラフィ、果てにはマリオネット制作まで、それぞれの分野での知識とユーモアを組み合わせ多くの素晴らしい仕事を行った。

私は欧文書体デザイナーを志す者として、彼のユーモアに溢れた書体デザインに感銘を抱いていたが、同時に今使うことができない書体が多くあることを残念に思っていた。私が今回制作した書体、“Roume”は彼が最後に取り組んだ書体デザインの仕事、“Falcon”のリデザインである。Falconはシャープなエレメントを持ち、当時のタイポグラファーに賞賛されたが、完成後にLinotypeの手が入りディティールが改変された挙句、彼の死後5年が経つまでリリースがなされなかった。

私は彼の書体デザインのプロセスを読み解き、私のプロセスと組み合わせながら実践し、書体“Roume”とその見本帳を制作し、書体の使用例としてのポスターや、来場者が試し打ちを行えるテスターなど、多方面への展開を行った。私はリデザインを通し、彼の本来目指した書体の再現と私自身の身体性の融合を目指した。

https://wolph.design/work/roumetester.html

作品一覧