卒展レポート

東京工芸大学

東京工芸大学 芸術学部卒業・大学院修了制作展 2019

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ADD SPICES

福澤 響子
芸術学部 デザイン学科 グラフィックデザイン領域

私たちは時に、味や味覚を比喩表現として使い、自分の感情や状況を相手に伝えようとする。比喩に味や味覚の要素を入れることで、単純に「嬉しい」や「悲しい」と表現するよりもっと複雑な気持ちを具体的に相手に伝えることができるのだ。「甘酸っぱい恋」や「苦い経験」などがその例で、それらを『味ことば』の一部と考えた。

一方、私は、料理に付け加えることでより豊かな味を表現できる『調味料』という存在に着目し、『味ことば』とのコラボレーションを思いついた。そして、『味ことば』から想像されるいくつかの味を分類し、新しい調味料の商品化に取り組んだ。人と人が味を共有することで話題が広がり、そこに新たなコミュニケーションが生まれると考えたのである。

実際の製作物は、10種類の味ことばから考えたそれぞれの調味料のパッケージと商品ロゴ、商品説明ボードだ。商品名は『ADD SPICES』といい、ADDには「付け加える」という意味があることにこだわった。味ことばから想像できる味を色に変換しグラデーションを作ることで、人間の複雑な感情や実態のない雰囲気を表現しメインビジュアルとして使用した。(例:「甘酸っぱい恋」は、甘さ=ピンク系、酸っぱさ=黄色系、ほろ苦さ=水色と置き換え、この3色のグラデーションを作り出した。)

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