大阪工業大学
第8回 大阪工業大学 工学部 空間デザイン学科 卒業作品展
ガラスブロック耐力壁のせん断特性に関する基礎的研究
- 古森 伸明
- 構造デザイン研究室
ガラスとコンクリート(モルタル)の複合体を鉄筋で補強した建築構造物の代表的なガラス建材がガラスブロックである。これは押出成形した2個の箱型ガラス片を真空状態で溶着接合して造る。これを、モルタル目地で各ガラスブロック間を鉄筋で補強し組積により面状に一体化した構造体で、建築物の壁や屋根として近年多く使用されるようになった
ガラスブロックは、その美しさに加え、視線/光量制御機能や断熱機能、遮音機能など優れた特性があり、建築物の外装材、内装材として広く用いられている。一般にガラスブロックは非構造材として用いられるが、ガラスブロックで構成される構造材としても利用が可能になれば、経済的で美しくかつ耐震性に優れた建築物になると考えられる。
しかし、ガラスブロック耐力壁に関する研究はほとんど行われておらず、載荷実験に関するものは中畠らしか認められない。
よって、本研究はガラスブロックによる耐力壁を可能とするために、材料特性と施工法を考慮した上で、軸力、せん断力および曲げモーメントに対する弾性理論に基づく力学モデルの構築を行う。剛性および耐力についての評価を行い、既往の実験結果と比較することでその妥当性を確かめる。
本研究においてガラスブロックの剛性および耐力について評価し、既往の実験結果と比較した結果、せん断耐力はほぼ計算値と同じ範囲であったが、剛性は算定値が過大評価されているといえる。しかし、ガラスブロック壁についての研究データは極めて少なく詳細な応力関係や理論的な評価は明らかでない。そのため、今後より多くのガラスブロック耐力壁の実験を行う必要がある。
(論文賞)