産業立国である日本において近年過去の産業遺産の価値を見直す動きが盛んであり、軍艦島などを含む「明治日本の産業革命遺産」が2015年７月5日にユネスコ世界遺産に指定されたことを受け、現在稼働中である工場についても未来に残していくべきである。

そのようななかで、現在、産業発展に伴う臨海部への工場誘致により水辺と生活の関係が希薄になりつつある。関西を代表する港町神戸灘区もその一つである。臨海部と住宅地の間に介在する工場を水辺と生活を分断するマイナスなものとして捉えず近年の産業遺産保護の動きや産業観光などを利用し、生産と生活を重ね合わせることにより工場の魅力を享受し、臨海部と人々の生活をつなげる施設を提案する。

（吉村篤一賞）