近年、若者のスポーツ離れ、すなわち運動能力の低下が問題視されている。その原因の１つとして、幼児期に運動を楽しいと感じられていないことがあげられる。また、スポーツや外遊びに不可欠な要素である時間、空間、仲間の3つの減少が考えられる。これらの点に着目し、子どもに体を動かすことは楽しいことだと教えることができ、遊びのための様々な設えをもった幼稚園をつくることはできないかと考えた。

子どもの体力テストの結果が全国でも低水準である大阪府下で、子どもの数が多く、かつ幼稚園の設計数が少ない西淀川区内で敷地を選定したところ、人通りが極端に減り、たくさんの店が閉じてしまった、いわゆるシャッター商店街の存在に気がついた。

そこで、幼稚園と商店街という２つの建築が自然と交わるように設計し、子どもの運動能力の改善を目的とした、地域全体に活気があふれるような建築を提案する。

（妹尾正治賞）