一般に、スピーカーユニットは、木製の箱に入れて再生する。箱に入れないと、音が回り込んで、低音が著しく低下する。市販品の大半は、密閉型またはバスレフ型で、箱の材質は固有の振動を持たないことが求められる。ここでは、前例のほとんどない「ダンボール」を素材としたスピーカーシステムを製作した。

なぜ「ダンボール」を素材にしたかというと、適度な共振を促す素材であるからだ。低音は期待できないが、代わりに箱の中での振動が過度に押さえつけられず、生き生きとした再生音が期待できる。剛構造ではなく柔構造のスピーカーシステムを目指した。

形状は、往年の名機、JBLのパラゴンを模した。サイズは2/3モデル。スピーカーユニットは、三菱電機の16cmフルレンジP-610DB。アンプは、市販のデジタルアンプのコンデンサー等を改造。組み立て後、試聴を重ね、ダンボールの厚みを変え、響のコントロールを行った。

（インテリア部門賞）