卒展レポート

桑沢デザイン研究所

桑沢2017 平成28年度卒業生作品展

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スペースデザイン専攻
藤森泰司ゼミ

日常生活の中では、目に見えないところで、あらゆる方向に力が働き、気づかないところで作用と反作用が常に行われている。「力のはたらき」を人やモノ、空間に対する影響を自身の日常から分析し、観察することで、目に映らないものを可視化させ、体感することのできる新た椅子が作れるのでは?と考えた。現在ある家具に製作技術と構造体に新しい視点を加え、次なるデザインの可能性を座るという行為から、反応を体感するという機能を表現し、目指した椅子が(Reaction Chair/リアクションチェア)である。

30mm幅の竹の集成材を12本切り出し、動きのある曲線的なラインで人の体重を支える柔軟かつ弾性のある座面と背のフレームを作り、この椅子全体にしなやかで美しい印象を生んでいる。また、それを支える構造体の中で強度の必要な部分は直線的に重ね合わせ、積層することで複雑な力関係のある構造体を成立させている。そのため、通常の4本脚の椅子とは異なり、この椅子に座ることで、部材の一つ一つが人の体重を支え、柔軟で弾力のある動きが作用と反作用という2つの働いている力を反応として見せ、体感させることで実現した。座面と背にあたるシートのファブリックはカバーリング仕様になっており、現在使用されている帆布生地に限らず、入れ替えることを可能とし、日常使いの椅子としての可能性を大きく広げている。

作品一覧