卒展レポート

金沢美術工芸大学

金沢美術工芸大学 卒業・修了制作展2020

  • 文字と物体の境界
  • 文字と物体の境界
  • 文字と物体の境界

文字と物体の境界

三好冬悟
美術工芸学部デザイン科 視覚デザイン専攻

この作品は、バリアブルフォントを作るにあたっての研究作品です。バリアブルフォントを作りはじめようと思いましたが、元となるフォントがないので、フォントを作るところから始めました。書き手の筆跡を追いつつ、このあと扱いやすいように粘着度の高い文字を目指し、書き手に敬意を表して、自分の言葉は入れず、参考にした秀英体明朝3号を略して秀英対3号と名付けました。

フォントが完成し、準備は整いました。従来の太さ、字幅などを自由に調整できるバリアブルフォントの中でも、物質の変化を用いたバリアブルフォントを作ることに決めました。具体的な例を出すと、例えばチョコでフォントを型取り、チョコが溶けていく様をバリアブルフォントとして出力することです。蝋や粉、氷などの物質に熱や振動などの現象を加えてバリアブルフォントを作っていきました。

そうして実験を進めていくと、文字と物体の境界に興味が湧いてきました。バリアブルフォントの制作を最終地点にするのではなく、境界を研究するためいろんな事象を試し、タイトルを、文字と物体の境界にしました。文字と物体の境界は主観だけでは語れないので体験できるものもつくりました。こうした実験を続けていく中で、見栄え良く、変化量の多い3つをピックアップしてとりあげました。最後に、文字をある意味壊すことで、文字の美しさを再認識し、壊すことで、文字の可能性をこの課題に取り組んで感じました。

作品一覧