金沢美術工芸大学
金沢美術工芸大学 卒業・修了制作展2020
ブランドの記憶空間を構築する。
- 成川就一
- 美術工芸学部デザイン科 環境デザイン専攻
次世代のファッションブランディング・マーケティングを、空間デザインを用いて研究した。
近年はファストファッションが地球汚染のために問題視され、持続可能な素材の研究によるサスティナブルファッションへとトレンドが変移している。そこで既存のスタイリングに+αすることで新鮮さを持続させるアイテムを古着のリメイキングにより「トランスヒューマニズム」をテーマに展開するブランドとしてデビューする『Ad2+(アド)』の(1)ブランディングを行なった。
また、ツールや空間構成物は再生可能な素材や、廃棄予定のものに新たな価値を落とし込み製作している。それに伴い、従来のインパクトのあるファッションの魅せ方ではなく、ブランドを知るところから購入し手に届くところまでを体験として、(2)プランニング(3)デザイン(4)プロモーションからマーケティングをした。ブランドが生活(日常の記憶)の一部になるように、ブランドコミュニケーションツールの機能を場のシーンにと共に変異させ、ターゲットがブランドを知る段階から弱い発信を連続的に行い、人々の記憶にブランドの世界観を刷り込むマーケティングを行なった。これを記憶空間の構築と呼ぶ。
再生可能な素材により洋服等の廃棄への心理の希薄が進む未来を想定し、「本来のファッションとは、モノへの愛着とは」という思想を問うブランドへと昇華した。