金沢美術工芸大学
金沢美術工芸大学 卒業・修了制作展2020
醤油差しのリデザイン -和食の所作を用いた美しい醤油差し-
- 細川岳
- 美術工芸学部デザイン科 製品デザイン専攻
和食では手の平を上にして行う所作が多いという気づきから生まれたこの醤油差しは、お椀を持つように手の平を上にして添えるように持って扱う醤油差しである。 便利な密封ボトルの登場により、食卓から影を潜めつつある醤油差しを所作からデザインし直すことで、 日本を代表する調味料であり江戸時代には塩の8倍の値段で取引された醤油の上質さを現代に蘇らせることができないかと考えた。
収納時に醤油の表面積が最小に、注ぐ際にそれが最大になるようデザインすることで、注ぐ量のコントロールのしやすさと醤油の鮮度維持を両立させた。食の選択肢が増え、卓上で醤油を使う機会が減りつつある背景を踏まえ、容量を従来品の約半分の40mlまで減らした。これは一般家庭が週に2回使い切る容量である。そこで洗いと詰め替えの手軽さを確保するため、蓋を取った際の開口部を広くとり、逆さにして安定して置けるようにすることで洗いやすさ、水はけの良さ、補充しやすさを同時に満たした。