金沢美術工芸大学
金沢美術工芸大学 卒業・修了制作展2020
kuon
- 坂上立朗
- 美術工芸学部デザイン科 製品デザイン専攻
SNSなどの普及により「他者の言葉」に常にさらされている私たちの視点は気付かぬうちに他者の言葉によって作られた世界観に囚われている。そこから視点の中心をはずすには、子供の頃に誰もが持っていたフラットな視点で、「言葉の外側の世界」にアクセスし自分と向き合う時間が必要である。
そこで私は、子供の頃誰もがやった「ものを拾う」という行為に着目し、“拾ったものたちの記憶に思い馳せるための道具”「kuon」を提案する。
「kuon」は拾ってきたものたちのため“彼ら”がいた場所の「音」と「光」を再現し、彼らの視点でその記憶に思いを馳せるための道具である。収集デバイスで拾ったものをスキャンし、その場の音と光を収録する。連携した器型デバイスが物体を識別することで、音と光を再生する。拾ってきたものたちが感じていた“目的なく繰り返すゆらぎ”に視点を移すことで、日常的に言葉の外側の世界にアクセスすることができる。