卒展レポート

金沢美術工芸大学

第62回 美術工芸学部卒業制作展

  • Kakinomori apartment
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Kakinomori apartment

白川智美
美術工芸学部デザイン科 環境デザイン専攻

現代社会において、生まれたときから同じ家にずっと住み続ける人というのは少なくなっている。かつて多くあった土地とそこにいる人々との繋がりは薄れ、家はただの寝起きする箱に成り果て、隣の人の顔も、その土地の原風景も知ることなく人々は生活している。それが仮住まいの賃貸であるならなおさらの事。

しかし、人と人とが交わることで生まれるものは、むしろライフスタイルが変化しつつある今だからこそ必要なのではないか。隣人と語らい、土地の風景を噛み締め、地域との繋がりを持ち、そこから刺激を受けることで創造的な生活ができるのではないかと考える。

木が集まり新しいものが生まれる森のように、人々が集い暮らし創造的な活動ができる、まちに開かれた集合住宅を提案する。長屋暮らしにヒントを得て、道路側の1階部分にカフェや店舗・スタジオなどの内外の人々が利用できる場所を設け、広場に面する居住棟には作業部屋・仕事部屋として使えるフリールームを設置することで、家の中から、あるいは外や広場から、ほどよく誰かの活動の気配を感じることができるようにした。また、土地の特徴でもある用水に沿った形で広場に抜ける遊歩道を作ることで、土地をまちの散歩道として活用し、住民と地域の垣根を取り払い、活気ある地域の共同財産となる場所を目指した。

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