卒展レポート

金沢美術工芸大学

第62回 美術工芸学部卒業制作展

  • – 唯花 – Yuika 新しい偲びのかたち
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– 唯花 – Yuika 新しい偲びのかたち

山村有史
美術工芸学部デザイン科 製品デザイン専攻

2040年には日本人の死亡者数は166万3千人とピークを迎える。それに伴い、墓じまいや奇天烈な終活サービスの急増、宗教観の薄れなどによって人々の「偲びのかたち」が多様になり複雑化している。紀元前5万年前のネアンデルタール人は故人に対し、現代も「花を手向ける」という偲びを行っていた。文字も宗教もない時代から行われてきたこの「花を手向ける」という行為は、現代の複雑化する「偲びのかたち」にとって普遍的である。

“唯花”は故人を家庭という最も身近な場所に置き、日々水を替え、唯だ花を一輪手向けるというシンプルで普遍的な行為によって人を偲ぶことができる。花はハーフミラーを透し、多くの宗教で永遠、輪廻、心理という意味を表す「円相」が金粉で蒔かれた骨壺と一体となり故人に手向けられる。かつて荘厳さで空間との差別化を図った仏壇に対し、“唯花”は家電や家具など幾何形体で構成される現代住宅に有機的で崇敬性をもたらす造形によって空間と差別化し、象徴的な印象を与える。また「人が自然に還る」こと、「プロダクトに崇敬性を宿す」ことを顧慮し、表面には天然塗料である漆を使用している。

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