旅のあり方が多様化したいま、地方農業を活性化させる手段としてグリーンツーリズム（農家民宿）に注目しました。

玉ねぎを名産品とする兵庫県南あわじ市では、玉ねぎを干すための「玉ねぎ小屋」という独特の建築物を多く見ることができますが、近年は農家の高齢化と生産の合理化に伴って廃屋が増加していることがわかりました。本制作では、そうして使われなくなった玉ねぎ小屋を活用し、簡易宿泊施設としてひらき、居住空間は農業をとりまく自然や季節の魅力を感じられる最小空間となるよう計画しました。

また、キッチンスタジオや銭湯など宿泊以外のアクティビティが楽しめる施設を周辺に提案し、地域との繋がりを深めるしくみづくりも同時にねらっています。生産者と消費者が直接コミュニケーションをとる関係を築くことで、日本の地方農業の価値がさらに高まることを期待します。