金沢美術工芸大学
第62回 美術工芸学部卒業制作展
「やさいづくり」をサポートするキャリーワゴン
- 西村正之
- 美術工芸学部デザイン科 製品デザイン専攻
近年、農業を取り巻くデザインやサービスが多様化してきている。それらの多くには「農業に興味、関心をもって欲しい」という思いがある。農業体験を通して、自然に囲まれながら身体を動かし、土に触れ野菜を育てる一連の行為にアウトドアアクティビティとしての魅力があると感じ、自宅から近郊の市民農園まで車で移動するユーザーを対象とした農業サポートセットをデザインした。
本体は天板、フレーム、コンテナ、台車で構成されていて、組み立て時は肥料などの消耗品から使用頻度の高い鍬やレーキまでまとめて運べるキャリーワゴンとして使用できる。フレームとコンテナを組み替え、台車をたたむことでコンパクトに車載、収納が可能。フレームにバッグや農器具ケースを掛けられたり、水筒などを置く台として使えるなど、作業や休憩の拠点として機能する。労働としての「農業」ではなく、趣味として「やさいづくり」が普及して、ユーザーに運動不足解消や食生活の見直しなどを促すだけでなく、周囲の人々にも農業をより身近に感じてもらうきっかけになることを期待する。