金沢美術工芸大学
第62回 美術工芸学部卒業制作展
音を浄化する天井照明
- 大橋康平
- 美術工芸学部デザイン科 製品デザイン専攻
ヘルムホルツ式共鳴器の吸音原理を使い、空間の反響音を軽減する天井照明。
住宅やオフィス、飲食店など人が多く集まる空間では、衣類や家具などのさまざまな物によって高音域の反響音が自然と吸収されている。しかし、主に男性の声に含まれる500Hz以下の低音域は吸収されず、空間に残り続ける。そこで、行き場を失った低音域の反響音を集中的に吸収する事で、空間が元々持っていた吸音能力の穴を埋めるような新しい吸音器具の提案。
人から近い場所に設置することでより高い効果を得られる特性から、天井照明の機能と「吸音」を融合させることで人の活動エリアにピンポイントで設置する事を可能にした。共鳴器の体積と開口部の面積、厚みから吸収する音の周波数をコントロールできる原理を応用し、光の拡散と共鳴に優れたガラスによるブロー成形で共鳴器を製作。予算の問題などで音環境に投資できない飲食店やオフィスなどを主な使用シーンと想定し、現在ではほとんど認知されていない「音のバリアフリー」を目指した。