卒展レポート

金沢美術工芸大学

金沢美術工芸大学 第60回 美術工芸学部卒業制作展

手で読む絵本 ぼくの猫はどこ?

手で読む絵本 ぼくの猫はどこ?

山田 明子
美術工芸学部デザイン科 視覚デザイン専攻

障がい者について知り始める小・中学生に向けて、目を使わず音と手触りだけで読む絵本を作りました。教育の場で行われている障がい者体験は、目隠しをして校内を歩くなど、恐怖心や過剰な思いやり精神を生むものが多いです。このとき作りだされたマイナスな先入観が、障がい者をひどく傷つけることがあります。私は、「見えない世界に興味を持ってもらうこと」が教育においてもっと必要であると考え、この絵本を作りました。

物語は、サーカステントに迷い込んだ猫を、サーカス団員の声や猫の足跡を手がかりに探し出すというものです。サーカステントの中に手を入れると、綱渡りの綱が途中から蛇になっていたり、火の輪のメラメラした音を手で触れたりと、質感の仕掛けがたくさんあります。手で見る、音を触る、器官にとらわれない感覚を体験し、見えない世界を楽しんでください。

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