卒展レポート

金沢美術工芸大学

金沢美術工芸大学 第60回 美術工芸学部卒業制作展

  • Solitude<br />何かを思い出すための服<br />
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Solitude
何かを思い出すための服

松本 直大
美術工芸研究科デザイン専攻 ファッションデザインコース

私は学生服をモチーフとしたデイリーウエアブランドを提案した。学生服を着ると、未熟な振る舞いも純粋無垢な様としてポジティブに受け入れられる。したがって私は学生服を「不安定な社会から、自分の時間を守ってくれる服」であると定義した。
今回のシーズンテーマは太宰治の「待つ」という短編小説だ。この小説には小さな駅のベンチで目的や理由もわからずに、ただ何かを待っている少女の心境が事細かに描かれている。その少女の姿と、現代に生きる女性の姿が重なった。それはコミュニケーションツールの多様化により、一日中誰かと関わり、自分を見失ってしまっている女性である。そしてそのなにかを「待つ」目的のない時間の経過を、曲線に置き換え、抽象的に表現した。
それを学生服に配し、自分の将来についてわからなくなって、何かを思い出したいと思っている人のための服とした。

作品一覧