卒展レポート

金沢美術工芸大学

金沢美術工芸大学 第60回 美術工芸学部卒業制作展

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本年も金沢美術工芸大学の卒業・修了制作展が、金沢21世紀美術館を会場に開催されました。会場レイアウトは学生主体でデザインし、それぞれの作品が効果的に演出されていました。修了制作展ではファッションデザインコースが環境デザイ […]

本年も金沢美術工芸大学の卒業・修了制作展が、金沢21世紀美術館を会場に開催されました。会場レイアウトは学生主体でデザインし、それぞれの作品が効果的に演出されていました。修了制作展ではファッションデザインコースが環境デザイン学部2年生とコラボレーションして、什器のデザインを中心に展示空間全体をデザインするユニークな試みがなされています。今年は土日にファッションショーを開催するなど新たな試みが行われました。卒業制作展はデザイン科の各専攻の教育方針に沿った多様なテーマ設定や表現が求められます。夏からスタートする制作は、幾度かの学内審査でコンセプトやデザインが研ぎすまされ、提案性の高いものに仕上がっていきます。特に現代社会や時代性を意識したコミュニケーション・製品・空間に対する新しい価値の創造を目指した、チャレンジ精神溢れる作品が多く見受けられました。展示は専攻ごとに緻密に計画され、作品をジャンルごとにまとめたり、使用方法を説明するムービー、ライティング効果など来場者に伝える工夫が感じられました。学生のギャラリートークツアーや外部審査員による特別賞の選考も実施され、活気に満ちた展覧会となっていました。

●視覚デザイン 学部23名 大学院2名
今回は平面作品が目立つ展示となりました。例年の立体化、大型化の方向性とは違い、徹底的に手作業、手わざの見える作品が印象的です。全体の1/4を占める映像作品も、徹底的に描き込んだものや造形的に作り込まれた作品が、展示全体を見ごたえのあるものにしています。
例年と比べ、一見古典的な形態に見えるかもしれませんが、テーマや切り口の斬新さや独自性において、通り一遍ではないのが本専攻の特徴でもあります。今回の作品群からも社会が抱える今や、学生が見出した問題意識を読み取っていただければ幸いです。
 
●製品デザイン 学部22名 大学院2名 
製品デザインの卒業制作の魅力は、時代の課題を反映した密度の濃いモデルにあるといえるでしょう。実物大を基本としたモデルはユーザーの現場で検証をおこない改良を重ね、たどり着いた裏付けのある結果です。学生たちは現場に足を運び人々と関わる中で様々な現実に触れ、問題に直面し、実証モデルによる試行錯誤の中から得られた手がかりを積み上げ、形にします。イノベーションとは、そのようなリアリティの中から生まれると各々は体験的に理解しています。今年度のテーマは「安心・安全」です。学生たちは現在自らが生きる社会の中で、生活の最も基礎的な安心と安全に立ち返り、自らの力で何が出来るのか、一人ひとりが定めた課題と向き合い、自らのビジョンを表明すると共に、ユーザーリアリティ・プロダクトリアリティ・マーケットリアリティを持った妥協の無い探究の結果としての展示を行いました。会場ではコンセプトを解りやすく説明するため制作した映像を流し、一人ひとりが作品の前で来場者に説明を行うプレゼンテーションを行いました。

●環境デザイン 学部18名 大学院2名
「空間視点でデザインできるもの全て」を扱う環境デザイン専攻。我々は空間に関わる専門的な知識や技術を基礎に、広い領域を横断したホリスティックなデザイン分野として社会に関わるべく、各自が様々なデザインよる課題解決や提案にチャレンジしています。卒業制作は人を中心に様々な領域とスケールでデザインを学んだ集大成として、各学生の関心のある分野領域とサイズで自主的に取り組みました。本年も実際に効果を体感できる子供服やテーブルから緻密な模型とレダリングで表現された小学校跡地の利用案やまちの活性化まで現代社会に向けた幅広く魅力的な作品が揃いました。展示空間は「スケール」というテーマを設定し、オリジナルの展示台や照明計画など全ての面で空間デザインの専門家としてのこだわりが発揮されました。実際の会場は小さなプロダクトからインテリア、建築、ランドスケープといった大きな空間まで順にレイアウトされ、スケールの異なる一つひとつの作品を楽しく見てもらえる空間になりました。

●ファッションデザイン 大学院3名 
ファッションデザイン(FD)コース修了制作は、自身のブランド構築を行います。市場調査を行い、ターゲットを設定し、多角的視野での作品制作が特徴です。発表形態はブランド哲学を伝える空間全体として表現します。これは、同大学環境デザイン(IAD)学部2年生との共同授業を行う事で実現させています。クライアント(FD修士2年)と依頼を請け負うデザイナー(IAD学部2年)の関係性のもと、各々の意向を伝えた上で実際に空間演出や什器のデザイン・設計・設置までを行なっています。今年度は、1つの大きな空間に3名の異なる作品が並び、ファッションショーも行いました。0からファッションを学び、マーケティング・ブランディング・ディレクティングまで果敢に取り組んだ2年間の成果がここに集約されました。

会期 2017/2/24(金)~3/1(水)
時間 10:00~18:00
会場 金沢21世紀美術館 市民ギャラリー 他
石川県金沢市広坂1丁目2番1号
URL http://www.kanazawa-bidai.ac.jp/
備考 最終⽇は17:00まで
芸術学卒業論⽂発表 2⽉26⽇(⽇)10:00~18:00

問合先:⾦沢美術工芸大学
TEL:076-262-3531/FAX:076-262-6594
admin@kanazawa-bidai.ac.jp

作品一覧