東京藝術大学
Record of a Living Being
棚橋 玄 / 大学院美術研究科 修士課程 建築専攻
この世界において時間は常に変化し続ける。それに伴って環境の状態 ( 光、温度、風、音、人 …) なども動き続ける。
建築において「動く建築」の例は沢山あるが、それは形態を変化させること自体に目的があるのではなく、動きの結果として、空間の状態に変化を起こすことにおいて初めて意味がある。
この環境変化と建築空間の変化との密接な関係をつくることの可能性において、私の動く建築への関心がある。
本モデルでは環境を構成する作用因子のうち「熱」という要素を取り上げる。
また外環境と内環境を規定し、人間の知覚においても影響の大きい「境界面」に着目し、温度変化に対して自律的に開閉するサーフェイスのモデルを制作した。
このモデルは環境の変化をマテリアル自体がセンシングし、自律的に動きつづける運動体であり、呼吸する生物のようでもある。