居くずし

榮家志保 / 大学院美術研究科　修士課程　建築専攻

【居くずし】“着くずす”ように、人の行為が、空間の型を崩しながら自身や他者になじませてゆくこと。

2009年に東京へ来て、その後トルコへ留学し1年を過ごした。自分が知らない土地に馴染んでいくという過程を短い期間に2度経験したのだ。トルコでは、「あのお店で、あのおっちゃんが、こんな椅子に座って、こんなモノに囲まれながら、こう過ごしていた。」と今でもありありと思い浮かべることができる。そこには無数の人の生活の場が存在していて、通りに多発する渦のような場に巻き込まれながら、私はゆらゆらと歩いていた。この記憶は今でも私にトルコに住んでいたという実感を起こさせる。こういった、人を受け入れて馴染ませる、過ごさせる力をもった空間の力への興味から本研究を始める。

現地における路上空間の観察と分析《Research work _1, _2》、分析から得た空間と人の行為を架空の都市における物語として描く《Writing work》、以上から得た空間を形成する行為を【居くずし】と定義し、その分析と検証としての制作《Experimental work》を行い、現実空間の中で人と都市が直に繋がる空間を追求する。

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