「化粧をすること」は人の心に密接に関わっています。頬を赤く塗って血色をよくみせる。長いまつげを付けて目を大きくみせる。それはなりたい自分に近づく為に自分の心を外に描いています。しかしそのなりたい自分になろうとする前に、元来持っている「自分らしさ」の魅力を再認識する必要があります。

人間のすぐ傍には数多の個性に富んだ昆虫たちの世界があります。厳しい自然界を生き抜く中で弱いものは強いものに擬態をし、鈍感なものは気づきの触覚を生やす。それぞれ己の欠点を独自の形に美しく進化させてきました。

そんな昆虫の触覚や翅（はね）といった独自の進化の造形を私たち人間に取り入れることで、自分の内面と向き合い、時に欠点をも美しい個性として表現できるのではと考えました。

（プロダクト部門賞）