卒展レポート

大阪工業大学

大阪工業大学 工学部 空間デザイン学科 第10回卒業作品展

  • 風と消える風景<br />-本庄水管橋のさいご-
  • 風と消える風景<br />-本庄水管橋のさいご-

風と消える風景
-本庄水管橋のさいご-

野田明日香
建築デザイン研究室

明治40年、大阪市北区豊崎。淀川の上で、自分たちの未来の為に橋をつくる人たちがいた。中には2本の水道管が通され、「本庄水管橋」という橋が架かった。柴島浄水場から淀川を越え、大阪市へと水を運ぶ役目が与えられたこの橋は、市民の日常生活を通し、大阪の発展を支える大切な街の一部となった。

遺産として残される建築・土木物は、世界中に存在する。一方で、現役時代の活躍も虚しく、どのような役割をしていたか知られないまま消えていくものもある。現在、撤去工事が行われている「本庄水管橋」もその1つだ。役目を失い不要物となった橋が撤去される運命を変えられないのなら、撤去されていく過程で、橋の為の建築を考える。

橋に、風などの自然の力をエネルギーに変える機能を持たせ、生まれたエネルギーを自分の為に使う。自分を魅せ、今まで近づいてもらうことが出来なかった人間と出会い、最後には自分自身を解体する。橋の為の建築は橋の終活となり、その姿は、役目は失っても風景の一部として生き、人々の記憶に引っ掛かる。

(優秀賞)

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