卒展レポート

武蔵野美術大学

平成28年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作展

  • こもんぐらむ – 東京 –
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こもんぐらむ – 東京 –

宮本 奈緒美
視覚伝達デザイン学科

型紙を用いて単色で染められる江戸小紋は、離れて見るとその模様のあまりの細かさに無地のように見えるのが特徴です。骨董市を訪れて昔の江戸小紋の端切れを収集したり、お店の方にお話を伺ったり、文献で調べたりするうちに、それらの緻密な美しさや、物としての風合いには勿論のこと、特に数え切れないほど豊かな柄のバリエーションに惹かれていきました。そして、自らも小紋を作ってみたいと思い立ち試行錯誤していく中で、単に繰り返しの模様を作るのではなく、細かな小紋のひとつひとつが意味や必然性を持っていれば面白いのではないかと考えるようになりました。

そこでこの作品では小紋に情報を組み込むことをテーマとしました。江戸小紋という名前にちなんで、東京の都心(≒かつての江戸)の範囲を元に、区の花、区の鳥、区章、人口密度、コンビニの所在地、路線図といった情報を小紋で表現しました。型染めらしく繰り返して広げられる模様となるように、また、離れて見ると浮かび上がる形と、近づいて気付く小紋の情報がリンクするように気を配りながら制作しました。単なる模様としても、ダイアグラムとしても楽しんでいただければ幸いです。

作品一覧