卒展レポート

武蔵野美術大学

平成28年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作展

  • ɔrysta//ize 法則に基づいた不完全構造
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ɔrysta//ize 法則に基づいた不完全構造

松下 洸之介
デザイン情報学科

鉱物の結晶は、時間や環境などの不可抗力に揉まれながらも形を成そうとすることで不完全でありながら魅力的な形態へと成長します。私は変化する環境と対話することで「法則に基づいた不完全構造」を形成するこの性質を「ɔrysta//ize」と名付け、人間と機械の関係性にあてはめました。

機械は目的を達成するための補助という主従関係を人間と築いています。そこで、それらを補助としてではなく結晶成長の言うところの不可抗力として恣意的に人間の行為を妨害することで、対話を起こすことができると考えました。今回、この人間と機械の対話によってできた軌跡をグラフィックとして表現するため、「規則的に模様を描く行為」を妨害する装置を作りました。

人間は装置の上でスタンプを使い、模様を描きます。その際、スタンプの形が持っている法則と、垂直に印を押すための補助線に従いながら、時間制限(15分)の中で理想的な模様の構成を目指します。一方で、装置は不規則に回転し、模様の構造にズレ起こし、描く行為を妨害します。さらに、スタンプの素材に消しゴムを用いることでかすれや圧力の違いを誘発させます。

これにより、濃淡やズレができた時の偶然性と、不可抗力を与えられた時の人の反応を画に反映させることができ、今までの主従関係では作ることができなかった人間と機械の対話による軌跡を有機的なグラフィックとして構成することができます。

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