卒展レポート

東京工芸大学

東京工芸大学芸術学部卒業・大学院修了制作展2020

反射境点機

斎藤晃聖
芸術学部 インタラクティブメディア学科

私は昔から無機物の中に確かにある有機性、アニミズムや八百万の精神に興味がありました。

私の目から見れば電柱は木々であり、そこから伸びる電線によって繋がれた住宅群は一つの栄養源を共有するミツバチの巣や蟻塚と同義です。

今回のコンセプトは川や海、ビル群に等しくある反射を軸に、私の中にあるそのアニミズム的思想を表現しようと思い今回の作品を作りました。

反射の表現の軸となる反射面を境にしてそこから手前側は鑑賞者の居る有機物の世界。

反射面から奥側はマシンの脳や頼りない身体、配管でひしめき合った無機物の世界を表現しており、その二つの世界の間にある反射面は己の身を透過させ無機物の世界を見せ、反射によって有機物の世界を見せます。

反射面は二つの世界を繋ぐ境点/境界であり、鑑賞者の脳内にある知覚のスイッチのI/Oを操作するインターフェースでもあるのです。

私はスイッチをセンサーに置き換える表現がそのレパートリーをもって体験の終焉を告げることにやりようのない悲しみを持っており、研究室では体験の恒久性についての研究をしていました。

今回の作品はその集大成でもあります。

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