女子美術大学
Portrait
松井 靖果 / 短期大学部専攻科造形専攻創造デザイン(メディア)
portraitとは自画像の意味を表します。
自画像とは本来であれば自分の顔を描くのが一般的だと思われますが、この作品の240cm×180cmの大きなキャンバスに描かれているのは顔ではなく、私自身の腹部のCT画像です。
卒業制作にあたり何をしようかと考えた時に、とりあえず一日一本ビデオを作る事にしました。日々カメラを手元に持ち、暇さえあれば撮影して編集していました。
私が映像というメディアを選んだのは、肉声や環境としての音、身振りや自身の撮影時での着眼点等、その場で起こる瞬間的な出来事がインプットされるからです。
絵画の上に映像、という作品のスタイルは実は前年度の短大での卒業制作にもやった事で(http://school.japandesign.ne.jp/joshibi/sotsuten/12/21.html)、よく「去年も同じような作品だったよね」と言われるのですが、今回の作品は最終的なオチが存在せず、全て観てもらいたいというよりも、11分間のうちのほんの一部だけを観ている方に持ち帰ってもらいたい、と思っております。
勿論11分間全部見てもらった方が断然嬉しいですし、そのための編集作業は怠りませんでした。
初めは私の頭からつま先まで全身の自画像を描こうとしていました。それは、今現在の自分を形として残したい、という思いがあったからこそで、この作品における自画像と何ら変わりありません。
今現在の自分自身と、自分がその日何を見て過ごしてきたかという痕跡を残す、日記としての役割を果たしながらもそれを作品として美術史上にアウトプットさせるといった事はこの作品の目標でいると同時に、今後私が作品を作る上でのテーマなのかも知れません。
積み重なった日々は今の私を形作っている、という考えの元、わたしはこの作品を自画像と定義します。