首都大学東京
KADEN PROJECT 2012
-スマートなみらいのためにできるコト-
学内の研究シーズや技術を活用したイノベーティブな製品プロセスの実践
2013/08/21 UPDATE
CASE 1 |
よりべんならず |
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傾き検知で寄り弁しないお弁当箱 |
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参加メンバー:システムデザイン研究科6名(インダストリアルアート学域/情報通信システム学域) |
従来のお弁当箱では、持ち運ぶ際に傾いてしまい中身がグチャグチャになってしまう、いわゆる“寄り弁” という現象がしばしば発生します。せっかくの昼食が台無しになってしまい、お昼時に落胆してしまった経験に注目しました。そこで従来のお弁当箱に加速度センサーを組み合わせることによって、傾きをリアルタイムで検知し内部を水平に補正する機構を取り入れました。これによって寄り弁を無くした、気持ちの良いお弁当ライフを実現します。
センサーを用いた姿勢制御の技術からの発想
まずチーム内の工学部系の学生の研究室で研究中の様々なシーズを取り上げ、その技術について知るということから始めました。チームは大きく分けて、工学系の研究室に所属する学生とプロダクトデザイン系を学ぶ学生とに分かれていたので、まず自分たちが使えるシーズについての整理を行いました。センサー制御や画像処理技術などが有ったが、これらのシーズから解決できそうな行動などを分析した。最終的には加速度センサーで可能な姿勢制御に絞り、ブレインストーミングによるアイデア出しを行いました。
その際には普段の生活において、不便なこと改善するべきことについてのアイデアを各自持ちより、その中でお弁当が傾いてグチャグチャになってしまう現象に注目しました。
ターゲットユーザーとしては、中学生から高校生までの男子を想定しています。これらのユーザーに合わせてお弁当の容量も検討しました。ユーザーの行動から、走ったりぶつけたりと乱雑に扱われることが多いということも考慮衝撃にも耐えれるようにラバー素材等も組み込んでいます。このプロダクトは、お弁当が寄ってしまうという問題を、加速度センサーやモーターなど最新のギミックを通して解決します。こうしたギミックは一見大げさに見えるかもしれませんが、そこに魅力を感じるユーザーも多くいると考えました。ガジェットとしての楽しさ、面白さということを大切にしてデザインを進めました。
機能を実現する球体の構造からの開発
回転するお弁当箱の駆体に適した形というものを考えたなかで“内側の球が回転する二重の球体” という形が出てきました。そこを起点にして男子中高生に必要なお弁当の容量を調査し、必要な容量を検討しました。その結果、三段の立方体のお弁当箱という形が最も適切であるいう答えが出せ、全体の大まかなサイズ感についても検討できました。
内側の球を水平に保つための駆動系については、加速度センサーとaruduino というツールを用いて、内側の弁当箱の収まる球体をモーターで制御するシステムを作りました。重量のある球体を回転させるのに十分なパワーを持つモーター及びギアボックス等の部品を調達し、それらを効率よく球体の中に納めれるよう設計をしています。実際のパーツを組み合わせて作った機能モックを制作し、実際に動作について検証と重ねました。
またこれら機能モック制作と並行して、外装駆体のデザインも考えました。基本となる球形をもとにスケッチを展開し、3DCAD やリアルタイムレンダラーによって外装モデルの検討も進めました。最終的には、外装をラバー材のパーツで覆うことでぶつけても傷つきにくいデザインというところに落とし込んでいます。
プログラミングできる学生、電子工作の得意な学生、スケッチが描ける学生、実働モック制作ができる学生、など多岐にわたる特性を持つ学生が集まったことで、作業を非常に効率的に分担することができたことがこのグループの成功点だと考えています。