近年、高齢化などの影響を受け、日本全国の救急出動件数は著しく増加している。また、救急現場において救命のために重要なことは、現場に居合わせた一般市民による適切な救命処置とされている。全国の消防本部の取り組みの中には、児童の記憶の定着の良さを期待し、小学生の頃から救命処置の方法を学ぶ医療教育の事例がある。しかし、児童が救命処置の内容を理解するために特化した教材は少ない。

本研究では岡山県笠岡市の消防本部の協力のもと、小学生を対象とする医療教育に対し情報デザインの観点からの支援を取り上げた。制作物としてPC、プロジェクタ、スクリーンを用いて使用するデジタル教材『ジュニア救命士のための教科書 救急車がくる前に、私たちに出来ること』を制作した。本制作物の使用によって、児童が「生涯にわたり救命処置を行える知識・心構え」を体験・理解することを目的とする。