色は芸術のみならず、景観や安全などわれわれの生活に大きく関わる視覚情報である。しかし、一般的には美術教育の中で扱われることが多いため、生活の視点から色彩教育を受ける機会は意外に少ない。そこで、研究では、幼少時からの生活に根ざした色彩教育の重要性に焦点をあて、これらの現状や問題点を調査、考察し、また、その課題を解決する方法の1つとして、小学校の高学年(4年生～6年生)の児童が色の基礎知識やしくみを日常生活において実践的に保護者や友達と楽しく学びあえる教材、『IROHA』を制作・提案した。

『IROHA』は、中学校で習う、もしくは教科書に掲載されている程度の色の基礎知識を中心に、身の周りの物事に例えながら色を学ぶ・色の遊びの提案を行うものである。一般に販売している色に関する教材は様々あるが、中学生で習う項目に焦点を当てたものは意外になかった。そこで、『IROHA』では、一般に販売されている教材との差として、 ① 中学校で習う項目に焦点を当てる、② 専門用語(明度、彩度など)を使わず、また、1ページの情報量をなるべく減らし、小学生でも分かりやすい表現を用いる、③ 絵を描くことが不得意な人でも容易にできる遊びを提案する、などの条件を用いて制作した。

作品は、A3サイズの手製バインダーを用いており、その中にある様々なサイズのページを子供がコピーしたり、ページを取り外して持ち出しやすいような、スケッチブックの形状にした。