卒展レポート

文星芸術大学

平成27年度 文星芸術大学卒業・修了制作展[美術学部]

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よそ見

濱崎 ひとみ
デザイン専攻

縁側で日向ぼっこをする。川に裸足で入ってみる。陽のあたたかさを、風のにおいを、水の音を、やわらかい心で感じる。そんな感覚を子供の頃から大事にしてきた。自分の生活が平凡なものでありながら、目にする景色は決して同じように繰り返されるものではなく、小さな偶然の重なり合いが時にハッとするような美しさを生み出す。地面に落ちた小さな石ころも、道端に生えている雑草も、こんなにも様々なものが溢れている中でたった一つと自分が出会い、見て、触れて、感じることができるのはまるで奇跡のようなことだ。その一瞬一瞬に言葉では表しきれない自分だけの感情を見つけることができる。そんな感覚を大切に大切に取っておきたくて無我夢中でシャッターを切った。ファインダーを覗いて映る空気のにおいにドキドキした。止まることなく流れる時間の一瞬をつかむことの重みを感じながら、ひとつひとつの出会いによく目をこらして、ありのままを見つめていきたい。写真を通して、空気のにおいや自然の豊かな音を感じて欲しい。そしてそんな感覚を多くの人と共有していきたい。

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