東京造形大学
2016年度 東京造形大学 ZOKEI展
地上に描かれた
- 永田 大祐
- 造形学部デザイン学科 写真
見慣れた都市のすがたが、抽象化されることによりその構造を際立たせていく。見えていたものは見えなくなり、見えていなかったものが見えてくる。
元々この作品は記念写真とでも言ってしまえるような写真だった。
高い場所から観た都市の眺めに興奮して、メモをするように何枚か写真を撮った。写真を見返しているときに、変な位置にいる車が写っている事に気づき、そこだけを切り取ってみたらどうなるだろうという好奇心からこの作品が生まれた。
カナレットやフェルメールはカメラオブスクーラを用いて作品を制作していたらしい。カメラと同じ原理により平面になった、レプリカとも言えるその像をなぞり、作品に活かしたのだ。
絵画が、自然の専制から解放されたものだとすると、基本的に写真はその逆である(様々あるので一括りには言えないが)。この一見、絵のような、ミニチュアの模型のようなイメージが写真から起こされていることに関心がある。写真が持つ束縛感のようなものが心地よいのだな、と思う。