武蔵野美術大学
平成30年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作展
Room
- 井出理紗子
- 視覚伝達デザイン学科
人の印象はなにで決まるのだろうか。その人らしさとは一体なんだろうか。
それは人の見た目であるかもしれないし、言動に現れるものなのかもしれない。
少なくとも、自分が感じている「自分」と他人が感じている「自分」にはギャップがある。
その人らしさとは一体なんだろうかと考えた時に、見た目や言動が思い浮かんだ。しかし、考え方というものには今までの記憶が大きく関係しており、一人一人のたどってきた道が違うために記憶に齟齬が生まれ、それゆえに万人が同じ印象を受けることは決してない。
そのことを調査し、考えていく中でその人が一番分かるのは『部屋』なのではないかと思った。
閉じられた空間で決してあけひろげになることがない、他人から見れば完全なパーソナルスペース。そこにはその部屋の住人がどんな趣味をしていてどんな性格をしているか、また、どのように育ってきたかが垣間見れる部分がある。
それは決して打ち明けられることのないその人自身に似ている。
今回、私は身近な人の部屋を制作した。
もしかしたら貴方の知っている人かもしれないし、そうではない人かもしれない。
そんな、誰の部屋かわからない箱を覗く。そこには何が見えるのだろうか。
ぜひ部屋をこっそり覗いてみて、一体この部屋に住んでいるのはどのような人なのか想像してみてほしい。
そして他人の内側を覗き込んでいるような感覚を味わっていただけるとこれ幸いだ。