私はモノを「パッキング」する事で成立する新しい構造について研究してきました。そこでPVC(軟質塩化ビニール）の、表面がフラットなモノに張り付き、とても薄く、溶着ができる、という特徴に着目しました。
多くの実験を重ね、PVCでアクリルをパッキングすることで、「荷重が加わるとシェル構造を形成する仕組み」を見つけました。その仕組をヒントにイスのプロトタイプを製作しました。
このイスはヒトが座るときの重みを利用し構造が安定するように設計してあります。そこから、日常生活で使われる時のシーンや、使いやすさ、生産性などを考慮して、素材と作り方の再考をしました。
そうして生まれたのが「utena」です。utenaとは、日本語で花の「がく」を意味します。素材は頑丈でメンテナンスの容易な合皮とし、アクリルはポケットに挿し込む作りにすることで、万が一折れてしまっても簡単に取り替えられます。また、このイスは折りたたむことも可能です。