文星芸術大学
平成28年度 文星芸術大学卒業・修了制作展
Clothes Room
- 飯村 悠
- デザイン
「迷うけど、安いから買っちゃおう」「欲しいけど高いから買わない」
現代の社会では、安くて可愛い服が簡単に手に入る。だから、本当に必要かは、その場で吟味せず安易に購入してしまう。クローゼットの中には同じような服があるにも関わらず手に取ってしまう。結果、数回しか着ていない服や、流行が去れば着なくなる服、新品同様のままクローゼットで眠っている服が増えていく。現在、この国での洋服の廃棄量は、年間約100万トン。約30億着の洋服が捨てられている。今日、私たちが着用しているその一着が、私たちに届くまでに、どれほどの想いが詰まっていることを考えたことはあるだろうか。つくり手の愛情という一言では済まされない、過酷な裏側がある。決して安いものではなく、安易に捨てられるものであってはいけない。
この作品で使用した衣類は、全て友人、知人から譲っていただいたものです。洋服にはそれぞれの色、素材があり、また、ボタンやポケットなどのパーツも組み込まれています。それらが持つ特徴を利用し、一つの部屋のような空間と、子供が遊べる玩具を提案しました。洋服から別のものへ生まれ変わることで、違った愛され方でも一着一着にもっと執着して欲しいと願っています。今回、私は古着の再利用というかたちで、ファッション業界の問題に対して訴えかけるものになるようにと、この作品を制作しました。