私は今、体内、特に“骨”に興味を示している。人の中心は常に骨である。生を受けた時点で骨が発生し骨に終わる。死=骸骨というイメージが一般的だが、脊柱動物は骨がないと生きてゆけない。勿論骨は単体のみでも造形的な魅力を秘めている。 表現方法に木版画を用いているのは作品ができるまでのプロセスがとても身体的であるからである。 (版木を彫る時の骨、筋肉の動き。版木が削れる音、バレンで紙が擦れる音などの聴覚の刺激など.) 医学で人を調べる為の技術は日々発展している。医者は医学的に見るが、私から見れば美しい写真、画像、映像である。 今回の卒業制作はX線写真、CT画像などをモチーフに使用した。これらは人の体内を透過し体内を見る。和紙の繊維を何枚も重ねたことにより隙間を生み出し光を透す構造と、X線写真の透過する構造は多くの共通点があると考えている。