東京造形大学
2017年度 東京造形大学 ZOKEI展
『2』第二世代
- 一松 岳
- テキスタイルデザイン
デニム、ジーンズは身体を保護しその価値は古着になっても私たちを魅了する。とは言ってもクローゼットには着用していないデニムが何本もあり、ゴミとして破棄されるものもある。そこでこれらのジーンズの再生・蘇生をテーマに試行錯誤を繰り返した。
不要になったジーンズを丁寧に解いてみる。緯糸を一本、一本解いてみると、そこに現れたのは美しい藍色の経糸。この経糸にすっかり魅了された私は、この一本の糸に新たな命を吹き込む『2』第ニ世代プロジェクトと名付け制作を始めた。解いた糸を一本ずつ丁寧に並べ「縫う」という行為は、一本のジーンズから産み落とされた第二世代の衣服の誕生にならないだろうか。ベースとなるシルクオーガンジー、透過性がありながらシルクセリシンの影響でハリがあり構造体、支柱として成立しそうだ。そこに一針一針ジーンズのほぐし糸を縫い込んでいく。まさに命が蘇る一針となることを祈って。
デニム糸の染色は「インデイゴ」による。ロープ状にねじった状態で染色する特殊な染め技法である。それによって糸の中心が染まらないのだ。そのことを実証することにもなった「ほぐし」作業から得た一本の糸の美しさをどうすれば効果的に表すことができるか、そのことが主たるテーマだった。