卒展レポート

岡山県立大学

岡山県立大学 デザイン学部・デザイン学研究科 卒業・修了制作展2020

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柴田芽映
デザイン学部デザイン学研究科造形デザイン学専攻

日々の暮らしの中で触覚について意識する場面はどれくらいあるでしょう。

イギリスの神経学者、オリヴァー・サックスの著書『妻を帽子と間違えた男』には、抗生物質の副作用で触覚が失われてしまった女性が登場します。彼女は、自分の身体の存在が感じられず、「からだがなくなってしまった」状態で暮らしており、さながらそれは幽霊のような感覚だと綴られています。

この話を読んだとき、「触覚がなくなる」感覚を想像できないくらいには、触覚は当たり前すぎて意識されない、意識できない感覚であると感じました。そして、自分と外の世界との境界を担うとても大切な感覚であるとも思いました。

研究では、触覚を意識したテクスチャー表現を調査・実験し、シルクスクリーンプリントの発泡加工を何度も重ねたテキスタイルを衣服に展開しました。身体を覆う快適とはいえない違和感を通して、自身の身体をいつもより強く意識するきっかけを作る作品です。

作品一覧