卒展レポート

大阪工業大学

第9回 大阪工業大学 工学部 空間デザイン学科 卒業作品展

詩の空間  -谷川俊太郎「ミライノコドモ」の建築計画

詩の空間  -谷川俊太郎「ミライノコドモ」の建築計画

田川 翔太
建築計画研究室

詩は明瞭な意味を自身に携えている。絵画はそこから幾多も想像を広げることができるが、言葉の意味は想像を超えて私たちに働きかける。

谷川俊太郎詩集「ミライノコドモ」は多くの言葉で構成されている。現実に近い想像をさせる言葉選びや、独特のリズムで構成される“言葉の響き” の心地よさ、美しさを感じさせられる。谷川俊太郎の詩は言葉の意味を必要としていないのではないか。“言葉の意味”はどこへ行くのか。想像に見え隠れする現実と“言葉の意味”を包む空間を構成する。

滋賀県長浜市余呉町。鏡湖と呼ばれる余呉湖南東部の平地に26の詩の空間を計画する。詩の言葉の意味を抽象化し、空間内部にオブジェクトを構成する虚構空間と詩の言葉自体の構成を抽出する現実空間で、詩の空間を二分化する。虚構空間は詩の中の私、現実空間は本を見る私の視点で詩を体感する。淡いアルミニウムの外壁は四季により変化し続ける余呉湖の環境を柔らかく映し、詩の空間を曖昧に繋いでいく。

(建築部門賞)

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