武蔵野美術大学
平成27年度 武蔵野美術大学 卒業・修了制作展
Erode
- 佐伯 瞳
- デザイン情報学科
「蝕む」とはあるものが他のものの領域内に少しずつ侵入し、
状態を悪くすることをいう。この「蝕む」という行為は生き物だけでなく、
雨や風などの自然の力によって起こる現象も含まれる。これらを一つの流れとして捉え、
「寄生」「侵略」「繁殖」「剥離」「蒸発」の5つの段階に分けた。
あるものが他のものの影響によって、変化し、あるいは同化するように融合することによって
生まれるかたちがある。
生き物による蝕むというかたちには生き物の「生きる」ということに貪欲な姿がかいま見れ
不気味さのなかに、生き物のなまめかしさや命の美しさが感じられる。
自然の力によるものには静かに語りかけてくる儚さや力強さが感じられる。
これらの背景には、私の特撮映画などに登場するクリーチャーへの関心が大きく影響している。
人をクリーチャーに変装するために使用される特殊メイクのようなイメージで、
人間と装身具がシームレスな状態になるような装身具を制作したいと考えた。
使用者を装身具が蝕むかたちをとるように、
生き物や自然の蝕むという行為・現象をモチーフにデザインしている。
すべてのオブジェクトが3Dプリンターによって出力され、
生き物の複雑な有機的造形を可能にしている。
また3Dスキャナーを併用することにっよって、モデルの形状に合わさるようにできている。