業界別・ポートフォリオの傾向と対策

ポートフォリオの作り方 – 実践編

Advanced 実践編
2

業界別・ポートフォリオの傾向と対策

「将来」と向き合って、業界内で自分の働きたい分野がはっきり見えてくると、その分野に絞ったポートフォリオの台割を作ることができます。作品の質と量を高め、進みたい業界分野への熱い思いを伝えましょう。

※版型は、A3横位置サイズを推奨します。ページをめくるのに少し手間がかかりますが、手間をかけてめくった先に素晴らしい作品があれば印象に残りやすいという利点があります。

ケース1 志望業界:広告デザイン

志望業界を広告デザインに絞った例作品の質と量の2つで伝える

わたしの広告

  • テーマ:広告デザインへの熱い思いを伝える
  • 作品点数:約50点
  • 中ページ:44ページ×2冊
  • 形体仕様:A3 横位置

2冊のうち、1冊目は広告作品のアイデアをどんどん見せる構成にしてみましょう。

BOOK 1 ページ 内容
表1   わたしの広告 BOOK 1
表2    
中扉 1 「広告」愛の二十番勝負 ○○○○(名前)
  2 白地
  3 クライアント1 広告B倍ポスター
  4 白地
  5 クライアント2 広告B倍ポスター
  6 白地
  7 クライアント3 広告B倍ポスター
  8 白地
  9 クライアント4 広告B倍ポスター
  10 白地
  11 クライアント5 広告B倍ポスター
  12 白地
  13 クライアント6 広告B倍ポスター
  14 白地
  15 クライアント7 広告B倍ポスター
  16 白地
  17 クライアント8 広告B倍ポスター
  18 白地
  19 クライアント9 広告B倍ポスター
  20 白地
  21 クライアント10 広告B倍ポスター
  22 白地
  23 クライアント11 広告B倍ポスター
  24 白地
  25 クライアント12 広告B倍ポスター
  26 白地
  27 クライアント13 広告B倍ポスター
  28 白地
  29 クライアント14 広告B倍ポスター
  30 白地
  31 クライアント15 広告B倍ポスター
  32 白地
  33 クライアント16 広告B倍ポスター
  34 白地
  35 クライアント17 広告B倍ポスター
  36 白地
  37 クライアント18 広告B倍ポスター
  38 白地
  39 クライアント19 広告B倍ポスター
  40 白地
  41 クライアント20 広告B倍ポスター
  42 白地
  43 プロフィール
  44 白地
表3    
表4    
表1

ファイル・バインダー等の表紙に「わたしの広告 BOOK1」とタイトルを入れて、広告への思いをはっきり打ち出します。

中扉

“◯◯◯◯◯(本人の名前)「広告」愛の二十番勝負”と強く打ち出し、広告への思いをはっきり打ち出しましょう。

P2

作品一つひとつをはっきり見せるとともに、いかに20作品をテンポよく見せられるかを考え、左ページは白地で展開。視覚の横位置認識が基本という人間の特性を考えて、横位置のビジュアルを展開します。

P3

ここから怒涛の広告20連発がスタート。この手法は、一つひとつの作品レベルが高い場合はかなりの印象を作れる反面、作品のレベルが高レベルまで達していないと逆効果になるので注意が必要です。それ1枚を見ただけで伝えたいことがはっきりしていてこその広告ポスターなので、一切の説明を省いたポスターの20連発も面白いでしょう。また、同じような作品よりも、20種類の異なるアイデアの作品だとより効果的です。

P43

プロフィールは前に持ってくるケースが多いです。しかし、導入から広告への熱い思いをダイレクトに伝える意図で、最後に掲載するのも有効です。

2冊目は1冊目と構成をガラッと変え、広告の展開能力をアピール。これまで学んできたことを幅広く知ってもらう構成を心がけます。

BOOK 2 ページ 内容
表1   わたしの広告 BOOK 2
表2    
中扉 1 「広告」キャンペーン三番勝負
  2 白地
  3 クライアント21 キャンペーン 概要と考え方
  4 展開作品(TV、新聞、雑誌、中刷り、WEB)
  5  
  6  
  7  
  8 白地
  9 クライアント22 キャンペーン 概要と考え方
  10 展開作品(WEB、モバイル、 イベント、 駅張り)
  11  
  12  
  13  
  14 白地
  15 クライアント23 キャンペーン 概要と考え方
  16 展開作品(街と駅ジャック)
  17  
  18  
  19  
  20 白地
中扉 21 その他で勝負
  22 クライアント24 C1 概要と考え方
  23 作品
  24 クライアント25 C1 概要と考え方
  25 作品
  26 クライアント26 パッケージ 概要と考え方
  27 作品
  28 クライアント27 パッケージ 概要と考え方
  29 作品
  30 クライアント28 商品デザイン 概要と考え方
  31 作品
  32 クライアント29 商品デザイン 概要と考え方
  33 作品
  34 タイポグラフィ 概要と考え方
  35 作品
  36 撮影作品
  37 撮影作品
  38 撮影作品
  39 撮影作品
  40 イラスト作品
  41 イラスト作品
  42 デッサン
  43 デッサン
  44 白地
表3    
表4    
表1

こちらの表紙には、「わたしの広告 BOOK 2」とタイトルを入れます。1冊目は広告作品のアイデアを見せているので、こちらは広告表現に導く論理的開発能力と展開能力を数本のキャンペーンを通してアピールしましょう。

中扉1

“◯◯◯◯◯(本人の名前)「広告」キャンペーン三番勝負”とし、BOOK 1と異なる印象を与えましょう。

P3

BOOK 2では、たとえば新商品キャンペーン、既存製品のセールスプロモーション広告、流通系のバーゲンセールのプロモーション広告など、別カテゴリのキャンペーンを数ページずつ紹介することで、能力のバリエーションをアピールします。似ている案件は避けるようにしましょう。ここでは概要と考え方をしっかり見せます。また、作品媒体も、TV、WEB、交通広告、新聞広告亜など幅広くし、展開力もアピールしましょう。

中扉2

純粋な広告への思いが熱くても、それ一辺倒ではなく、幅広く学んできたことをしっかりとアピールすることも大切です。広告以外にも、CI、パッケージ、商品デザイン、空間デザインなど、さまざまな分野での制作実績を掲載することは、あなたの能力の幅を見せる上で有効でしょう。

P36

個人の趣味やイラスト、デッサンはもちろん、個展やクラブ活動での作品などを入れ、個性を際立たせるのもよいでしょう。ボリュームがあるようなら、広告作品で1冊、広告以外で1冊、個人のアートワークで1冊といった、3冊セットのポートフォリオにしてみるのも面白いかもしれません。

ケース2 志望業界:エディトリアルデザイン(雑誌)

志望業界をエディトリアルデザインに絞った例作品を1冊の雑誌のように見せる

エディトリアルLOVE

  • テーマ:エディトリアルデザインへの熱い思いを伝える(雑誌編)
  • 作品点数:40点前後
  • 中ページ:48ページ
  • 形体仕様:A3 横位置

エディトリアル(編集)デザインは、広告デザインに比べて作り手の意向が色濃く反映されます。一冊の雑誌を見せるようなイメージで作ってみましょう。

  ページ 内容
表1   EDITORIAL LOVE
表2    
中表紙 1 表紙 名前を入れる
  2 プロフィール
  3 目次
4 EDITORIAL
小扉 5 雑誌扉
  6 雑誌1  概要 表紙 作品
  7 中面見開き1
  8 中面見開き2
  9 中面見開き3
  10 雑誌2 概要 表紙 作品
  11 中面見開き1
  12 中面見開き2
  13 中面見開き3
  14 雑誌3 概要 表紙 作品
  15 表紙展開
  16 中面見開き1
  17 中面見開き2
  18 中面見開き3
小扉 19 装丁扉
  20 作品1 タイトルデザイン 表紙
  21 作品2 タイトルデザイン 表紙
  22 作品3 タイトルデザイン 表紙
  23 作品4 タイトルデザイン 表紙
24 GRAPHIC扉 
  25 クライアント1 雑誌広告
  26 クライアント2 雑誌広告
  27 クライアント3 雑誌広告
  28 クライアント4 キャンペーン 概要と考え方
  29 展開作品(TV、新聞、雑誌、中刷り、WEB)
  30  
  31  
  32 クライアント5 キャンペーン 概要と考え方
  33 展開作品(WEB、モバイル、イベント、駅張り)
  34  
  35  
36 OTHERS扉
  37 クライアント6  商品デザイン 概要と考え方
  38 作品
  39 クライアント7  C1  概要と考え方
  40 作品と展開
  41 クライアント8  パッケージ 概要と考え方、作品
  42 撮影作品
  43 撮影作品
  44 イラスト作品
  45 イラスト作品
  46 デッサン
  47 デッサン
  48 白地
表3    
表4    
表1

ファイル・バインダーなどの表紙に“EDITORIAL LOVE”とタイトルを入れて、エディトリアルデザインへの思いをはっきり打ち出します。

中表紙

誰が“EDITORIAL LOVE”なのかを明確にするためにも、名前を入れて印象付けます。さらに、名前を記憶させたところで、プロフィールを簡単に入れます。また、目次はエディトリアルでは必須項目。一般的な雑誌を研究して、台割にあった目次を入れましょう。

P5 雑誌扉

エディトリアルの雑誌作品を連続して見せます。広告と違うところは、表紙と中面のレイアウトを見せるところ。数本の雑誌を続けて見せる場合は、違うタイプの雑誌を扱いましょう。中のレイアウトも、目次や奥付のレイアウトや表紙展開を混ぜると変化が出ます。

P19 装丁扉

装丁デザインも“EDITORIAL LOVE”を印象づけるため前半に持ってきます。表紙のデザインとオリジナルタイトルで見せると効果的です。また、装丁デザインがメインの人は、はじめに装丁デザインを多く収録し、逆にその後にエディトリアル作品を入れると良いでしょう。

P24 GRAPHIC扉

エディトリアル分野を中心に考えて、エディトリアルに関連性の強いグラフィックで一つのグループを作っています。広告作品は、雑誌広告など出版社のキャンペーンを扱うなどして、“EDITORIAL LOVE”に関連付けると効果的です。

P36〜

エディトリアル分野以外でも、自分の能力が高いことをアピールします。また、個人の趣味やイラスト、デッサンなどを入れ、個性を際立たせるのもよいでしょう。個展やクラブ活動での作品があれば載せてもかまいません。

Facebook
twitter