2011年、インタラクティブなZOKEI展へ。
2011年1月22日~23日の2日間、東京造形大学キャンパス内で「2010年度 ZOKEI展〈2010年度 東京造形大学卒業研究・卒業制作展 東京造形大学大学院修士論文・修士制作展〉」が開催されました。東京造形大学は、桑沢デザイン研究所の創立者桑澤洋子氏により設立された大学です。卒業生として彫刻家の舟越桂氏、映像作家の丹下紘希氏、映画監督の犬童一心氏といった著名なクリエイターを多く輩出しています。
今年のZOKEI展は、大型の作品が多く見受けられました。大型の作品のほとんどは、作品の中に入れたり五感で体感する作品がほとんどでした。現在はゲームや3Dインターネットなどの体感することの難しいバーチャルな世界が溢れています。その裏返しのように人が触れる・感じられる作品が多かったと感じました。
大型作品の中で注目を集めていたのは、大鷲 幸さんの作品「マイ・ドール・ハウス」です。マイ・ドール・ハウスは、女の子なら誰もが憧れた“ドールハウスの中で遊ぶこと”を実現した作品です。高さ3mに及ぶドールハウスは、実際に中に入って作品に触れることが出来ます。ドールハウス内にある家具は、紙を折って作られていて子供の頃に遊んだ折り紙を思い出させます。また、マイ・ドール・ハウスは4階建ての吹き抜けになっている展示会場の施設環境を利用し、作品を上から見下ろすことでスケール感を楽しむことが出来ます。大型作品の中に身を置くことで五感が刺激され、テキストで書かれた作品説明よりも深く作者の意図を知ることが出来ます。
今年のデジタル作品は、映像やインスタレーションなど眺めて楽しむものが多かった昨年に比べ、アプリケーションやゲームといった体験型の作品が多いようでした。操作してシュミレーションできる作品は、見るだけの受け身の作品よりおのずとわかりやすく高い折求力があります。印象的だったのは、次代のコントローラーをデザインした「thinking corpus」。デザイン学科 メディアデザイン専攻領域 朝岡悠平さんの作品です。thinking corpusは、映像コンテンツを身振りで操作するコントローラーです。マウス型のコントローラーを手のひらに乗せ、高い位置に上げると再生速度が速まり、低い位置に下げると再生速度が遅くなります。映像シーンの切り替えは、コントローラーに手をかざすことで行えます。thinking corpusは、簡単な動作表現のみでコンピュータに意思を伝える全く新しいユーザーインターフェースの提案でした。
今年のZOKEI展は体感型の作品が多く見られました。卒業制作展は、展示された作品を眺めるものが一般的です。しかし、作品によっては眺めるだけでなく体感することで感じとれる作品もあります。今後、卒展の作品は、来場者と様々な形でコミュニケーションがとれるよう変化していくのではないでしょうか。
ここでは、およそ500点の作品の中から厳選した37点をご紹介します。
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