金沢美術工芸大学の卒業・修了制作展は金沢21世紀美術館で開催され、大学院に続いて学部の美術科、デザイン科、工芸科の展示が行われました。会場のレイアウトは学生主体で行い、それぞれの作品が効果的に演出されています。
デザイン科の各専攻では教育方針に沿った多様なテーマ設定や表現が求められますが、数度の学内審査でそれらが研ぎすまされ、提案性の高いものに仕上がっています。特に現代社会や時代性を意識しながらも新しい価値の創造を目指したチャレンジ精神溢れる作品が多く見受けられました。
学生のギャラリートークツアーや外部審査員を迎えての特別賞の選考も実施され、大変活気に満ちた展覧会となりました。会期最終日の3月1日に挙行された本学での卒業・修了式に合わせて、全国から保護者や関係者の方々も多くみられました。
●ファッションデザインコース 大学院3名
本年度のファッションデザインコースでは、衣服のパターンとフォルムを徹底的に追求したレディスブランドや、ペットと飼い主の関係性に着目したペットショップ店のユニフォームなど、各々の視点で時代を捉えたバリエーション豊かな作品が並びました。例年に引き続き環境デザインや視覚デザインの学生との共同制作により、空間作りからロゴデザインまで総合的なデザインを提案しています。また、多くの地域企業にサポートしていただき、地元の素材や加工技術を活用する機会を得、各自が実社会を意識した研究を進めることができました。
●視覚デザイン 学部20名、大学院2名
卒展の会場にいると、いろいろな声が聞こえてきます。VDエリアは、一際そのトーンが高くなり、作品をご覧になるお客さんの顔を見ているだけでも楽しくなります。大学院、学部合わせて22名の作品はどれひとつ同じものがないというのが一番の自慢かもしれません。生物多様性も重要ですが、私たちのメッセージは、デザイン多様性です。
●製品デザイン 学部21名 大学院3名
製品デザインにおける卒業制作の魅力は、提案内容の充実とともにそれが反映した密度の濃いモデルを完成させることにあります。今年度はディテールからカラーリングまで納得のいく姿を追求したものがそろいました。それぞれのモデルはユーザーの現場で検証をおこない改良を重ねたもので、裏付けのある作品となっています。機能のリアリティーと物のリアリティーへ向けて妥協の無い探究が一人一人の学生によってなされました。
●環境デザイン 学部18名、大学院1名
環境デザインは、建築やランドスケープの専門的な知識や技術を基礎に、さまざまな空間デザイン領域に挑戦している。都市環境や自然環境をテーマに、時代性を反映した提案を行った。漫画をテーマにした美術館、生と死を改めて考えた葬儀場や、近未来の島を題材に新しい生活スタイルを模索した住宅など。少し先を見据えた多彩な作品が揃った。
大学院博士後期課程研究作品展 / 大学院修士課程修了作品展 / 卒業制作展
大学院博士後期課程研究作品展 / 大学院修士課程修了作品展
会期:2011年2月15日(火)~20日(日)
会場:金沢21世紀美術館 市民ギャラリー他
卒業制作展
期間:2010年2月23日(水)~3月1日(火)
会場:金沢21世紀美術館 市民ギャラリー他
URL:http://www.kanazawa-bidai.ac.jp/
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