旧三井物産横浜支店生糸倉庫を保存するにあたり、価値の純化を行うこととした。見出した価値は、建築家・遠藤於菟の意匠であるコンクリート、煉瓦、木造が組み合わされたハイブリッドな構造システムであり、中でも1階から3階まで一体形成されたコンクリート柱であろう。

そこで、本構造のうち、純粋な構造部分を抽出、その後チャペルとしての空間構成を加える手法をとった。また、外部にガラスのエントランスおよびガラスのエレベーターを増築し、オリジナルの外観を保存しながら機能の現代化を行った。

東面レンガ壁は補強の必要があり一度解体した後、再利用できる素材と足りない部分については新素材と入れ替え施工した。新素材は歴史を引き継ぐ温故知新の新の象徴としてのガラス素材を用い、空間に「光」を加え、建築的チャペルとして蘇らせた。