金沢美術工芸大学
リアリティある社会連携プロジェクト 2012
2013/10/30 UPDATE
金沢美術工芸大学では2007年から産学連携活動に取り組み、様々な研究成果を上げてきました。
3年前から産学連携と地域連携をあわせ社会連携と捉え、社会貢献と教育の一環としてその活動を推進しています。昨年度(2012年度)は30件のプロジェクトがあり、その中から商品化及び販売実績のあったプロジェクトの一部を紹介します。
商品化を前提とした連携研究は、企業等のデザイン開発業務とかわりません。開発商品や連携先による差はありますが、綿密な打合せと意見調整が不可欠です。デザインが決定するまでに、目的・目標の確認、調査、コンセプト立案、デザイン提示、生産技術(製造現場)との技術課題の解決、営業販売との意見調整、知的財産権の取得等をクリアーしなければ商品化には至りません。
金沢美術工芸大学では、指導教員が中心となりプロジェクトに参加した学生の意見(思い)を聞きながら、問題の解決にあたりデザインの実現に向けて作業を進めます。
授産商品開発支援事業の一環として、いしかわ動物園で販売する「こびとかばサブレ」のパッケージデザインを依頼されたプロジェクトでも、世界三大珍獣である「こびとかば」を実際に見てイメージを膨らませ、販売する店頭調査を行うなど意見を重ねていきました。施設内で製造することを考慮し、サブレの形状自体も提案するなど、指導教員、デザインした学生、企業の担当者が一丸となって、進めることができました。
これらのプロジェクトに参加した学生は、企業の開発現場の厳しさと、「商品として販売された」という喜びと達成感を体験でき、今後の自信にもつながると思います。
工事現場にある仮囲いフェンスのグラフィックデザインを提案するプロジェクトでは、仮囲いのフェンスをメディアとしてとらえ、親しみのあるものにすることにより新しい発見が生まれることを提案。プロトタイプとして実際に原寸でフェンスを制作し、最終案が決定されました。
また、本学においては「知的財産の取り扱い(活用)」が重要課題となっています。
「金沢の水」プレミアムボトルのデザインと商品化の研究では知的財産権(ボトルの意匠登録)を取得したことで、ライセンス契約の実施や権利を生かし他容量物への商品展開が可能となりました。
このように、商品化を前提とした連携研究では企画・コンセプト立案から商品に至までのリアリティある体験ができ、研究に携わった学生には大いにプラスになり教育的効果が大きいと思います。