東京藝術大学
2012年1月29日(日)から2月3日(金)にかけて第60回東京藝術大学卒業・修了作品展が東京芸術大学美術館・大学構内で開催され、修了予定の大学院2年生の修了作品、学部4年生の卒業作品が展示された。
例年、東京芸術大学の卒業・修了作品展には多くの来場者が詰めかけ、注目度の高さがうかがえる。今年も会場では、生徒と来場者が作品について語り合う光景を多く見かけた。
今年の展示では、素材の持つ特徴に時間をかけて向き合い、その魅力を最大限に生かした作品が多く見受けられた。物体の周りに繁殖する菌や地に張る根などをモチーフに、本来「静」を感じさせるガラス素材に生命力を吹き込んだ作品。また、花びらの儚げな柔らかさを視覚的に感じさせる鋳金作品、液体の波紋のように思える巨大な発泡スチロールの作品、表情の異なる泡を彫刻表現とした作品など、どれも素材に対する深い理解から成る表現だ。
他にも、在学中の留学経験からインスピレーションを得た作品がいくつか見受けられ、非日常といえる経験に自ら飛び込む姿勢が、作品にさらなる深みを与えていると感じた。
ここでは、多くの出品作品から27点を取り上げてご紹介したい。